COLUMN

コラム

明けましておめでとうございます。
家族と新年を過ごしているときに、ふと思い出した言葉がある。

「ヤングケアラー」と言う言葉、聞いたことはあるがよく知らない人がまだ多いようだ。私がこの言葉に出会ったのは7年ほど前である。「ヤングケアラー」とは、本来大人が担うと想定されているような家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものことを言う。シングルマザー・ファザーの家庭では、働き手の父母に代わって同居する祖父母の介護をしなければいけない環境に置かれている子どもたちがいる。幼いきょうだいや、障がいや病気のある家族の世話をする子どもたちもいる。

総務省の古い調査によると、家族の介護をしている若者(15~29歳)の数は約17万7,600人となっていた。2012年の古い統計なので、今現在さらに大幅に増えている可能性は高い。

「ヤングケアラー」と言う言葉はイギリスが発祥。イギリスでは30年ほど前よりこの言葉が使われはじめ、今はヤングケアラー支援の先進国として問題に取り組んでいる。18歳未満が「ヤングケアラー」、18~24歳くらいまでが「ヤングアダルトケアラー」に分類されている。イギリスでは自閉症、アルコール中毒などの問題を抱えている親(労働者階級)が多く、彼らが子どもたちに与える悪影響が問題視されていた。介護するにあたり子どもの教育を受ける権利が奪われてしまうと言う危機感から、率先して実態調査と対応策が取られて来た。1995年には「ケアラー法」という法律が制定され、2014年には「子どもと家族に関する法律」で地方自治体に対してヤングケアラーを特定し、適切な支援につなげることを義務づけた。進んでいる国は違うなと思った。

ヤングケアラー問題について実施した調査によると、学校の教員が生徒の介護負担に気づいた原因で圧倒的に多かったのが「本人からの話」であった。日本ではそういった先生に相談したり、意見を聞いたりできる環境があるだろうか。あったとしても、まだまだ一般的にも知られてない「ヤングケアラー」問題に知識のない先生が十分な対処が出来ないのではないだろうか。

年々増える先生の業務の多様化もあり、「ヤングケアラー」問題に対し「子どもたちの教育を受ける権利」をどう守ってあげられるのだろうか。
イギリスより30年遅れをとっているが、ケーススタディーも多々出来ているはず。2022年の新乳児出生数が77万人前後と80万人割れになる見通しで、大きく政府の予測を下回った。高齢化まっしぐらの日本、この問題は時間が経つに連れ大きな問題になってくることは必然的。
日本社会として少々問題視するのが遅かったが、今から大きく問題提起し、教育現場、家庭、地域社会とで考えていかなくてはならない最も大きなテーマの一つだと思う。

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