COLUMN

コラム

友人が毎回、私のコラムを読んでくれていると言う。2月のコラムを公開後、すぐに彼から質問された。日本のような入試スタイルは特別なのかと。私の知る限り、特別としか言いようがない。日本の大学入試で見る一斉試験の点数だけで合否を決める、世界的には非常に稀有な選抜方式であろう。1回の試験の点数だけで合否を決める大学入試は日本とお隣の韓国ぐらいではないだろうか。
先進国、欧米各国などは大学入学を入試の点数だけで行なっている大学はないと言って良いと思う。例えばアメリカの大学入学と言うことで見るならば州によって若干の違いはあるが、1.学校の成績 2.エッセイ(自己紹介文) 3.推薦状(高校の先生2名) 4.課外活動 5.テスト 6.面接と6項目に及んでいる。高校在学中の多方面にわたる成績や評価で入学が決まるのである。
フランスの大学入試も日本のような入学試験はない。高校卒業時にナポレオンが始めたと言うバカロレアと言う試験を受け、取得することができれば基本的にどの大学にも入ることが出来る仕組み、免許のような物である。この試験、はっきりとした正答のない抽象概念にせまる問いかけに、如何に本質的な理解や解釈でもって、自分の考えを記述出来るかを問う論述形式の試験となっていている。それでいて毎年約8割程度の合格者を出していると言う。
ドイツでは10歳までの基礎学校を終えると、1)大学受験をめざすコース「ギムナジウム」、2)特定の職能に特化したマイスター(職人)を養成するコース、3)その中間のコースと大きく3つのコースのいずれかを選択させられる。ギムナジウムでは18歳になるまで受験のための一貫教育が行われる。落第もあるが卒業試験に合格すれば、ドイツ国内のどの大学、学部へも入学することが出来ると言う制度。何処も高校で何をして来たのかを大きく入学評価のポイントとしている。
この欧米型大学入試は欧米だけにとどまらない、欧米以外の国でもおおよそ世界標準となっている。人格の成長過程を見ながらその評価や学力を見定めて、良い学生を入学させたい世界の大学と、学力・勉強だけ出来る学生を入学させる日本の大学との差であろう。海外ではその子の持っている思考や潜在能力を重視するのに対し、日本の大学は少しは変わってきているが基本暗記力重視である。なんとも時代遅れのおかしな日本の大学入試方式である。

世界の大学、入口は広いが出口が狭い。日本の大学は入口が狭いが出口は「ところてん(押し出し)方式」で広いと言われ、世界から揶揄されている。世界との入試方式の違いを見てもわかるように、今の日本の入試方式では隠れている逸材を見出すことは不可能に近いだろう。技術を受け継ぐような物作り(ハード)にはある程度適応出来るだろうが、全く新しい物作り(ソフト)には不適格、対応出来ない。だからなのか日本ではGAFAに代表される世界的なソフト企業が育ちにくいのかも知れない。これからはよりソフトが重要視される時代になる。明治時代に確立された今の古い入試方式を早く大きく見直す必要があると強く言いたい。

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