COLUMN

コラム

2022.10.10

子どもたちの健康を支える「栄養教諭」の活動

カンボジアにあるクメール王国の大寺院、アンコール・ワット。アンコール・トムなどを含むアンコール遺跡群。何度か行ったが、その壮大さに驚かされた。また、国民の平均年齢が30歳未満と若く、子どもの数の多いことにも驚いた。
以前、学校を見学したときのこと。各学年が午前組と午後組に別れていた。校長が「きょうだいが多いので小さな弟や妹を背負って学校に来る子どもが大勢いる。」と言う。生活が貧しいので、少し前までは多くの子どもが学校に来なかったそうだ。しかし、あることで今は子どもが欠席することが画期的になくなった。それは日本から給食制度を取り入れたからだと言う。子どもたちは皆、給食を目当てに学校に来るようになった。貧しい生活の中で、3食を食べられない家庭もある。給食を実施したことで、空腹と最低限の栄養が確保できるようになったと言う。
日本では戦後すぐに給食制度を取り入れたので、公立の小学校では給食はあるのが当たり前。給食が子どもたちの通学率をあげると言う概念がない。

数年ほど前に、日本の給食制度を支えて来た人たちがいることを知った。地産地消も取り入れ、各種栄養価はもちろん塩分量なども含め、しっかりしたエビデンスを元に基準を細かく献立作りに生かしている。衛生面でも給食センターや給食室の細かな基準作りをずっと実施してきている。私を含め、知らない人も多いであろう。「給食のおばちゃん」的な思いしかないと思う。しかし、今は全く違う。「栄養教諭」と言う資格もでき、子どもたちの栄養に関わる教育も授業で行なっている。

先日弊社も協力し、岐阜県多治見市で「第六回栄養教諭食育研究大会」が大会の会場と全国をネットで繋ぎ、ウェブセミナー形式も含め開かれた。全国の栄養教諭が1年かけて、それぞれの自治体の話題や問題になっている事象を研究テーマにし、その研究成果を発表するのである。毎日の忙しい仕事を持ちながら研究に取り組むのは大変であっただろう。多くのデータを揃え、ケーススタディーを共有し、自分たちの地域にその成果を生かして行くと言う、とても有意義な大会であった。世界中でこれほどまでに給食文化を確立した国はないと思う。しかし、そこには決して表に出ない、縁の下の力持ちの役割を果たしてくれている「栄養教諭」を含めた給食関係者のなみなみならぬ日々の努力があったからであろうと思う。

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