COLUMN

コラム

長いことボランティア活動をしてきた。ボランティアの内容は、スポーツで使うグランドの整備や見回りである。休日になると、子どもたちが野球をはじめサッカー、ラグビーなどで使用する。先日、少年学童野球で知り合った子どもが中学生になり下校途中に会った。中学のシニアチームに入ったという。今日は学校のクラブがないのかと問うと「学校の野球部には入れなかった」と言う。なぜ入れないのと聞くと「シニアの練習が土日にあるため、土日に中学で野球の試合があると試合に出られないから。野球部だけでなく試合がある運動部にはどこにも入れなかった、文化部もほぼ同じ」と言う。

何かがおかしい。もともと運動部も含めクラブ活動は子どもたちの「知・徳・体」のバランスのとれた生きる力を育み、バランスのとれた心身の成長と学校生活を送るためにあるとされているはずである。試合に出られないから中学のクラブに入れない。本末転倒だろう。中学のクラブ活動は試合のためにあるのか。ちがうだろう。せっかく野球に興味を持って中学のクラブに入ろうとしたら、門前払い。本来のクラブ活動の趣旨をまったく一脱していると思う。どうやらそこには「日本中学校体育連盟」の参加資格や登録にまで及ぶようである。考え方が古すぎて絶句してしまう。

平成30年にスポーツ庁がクラブ活動に関し「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を出している。そこには学校単位で参加する大会等の見直しという項目があり、「日本中学校体育連盟は、主催大会の参加資格や運営の在り方等を速やかに見直し」と書かれている。また、生徒のニーズを踏まえたスポーツ環境の整備という項目もあり、校長は生徒の多様なニーズに応じた活動ができる運動部の設置を目指すこと、としている。現状は、これらのガイドラインに則していない。クラブの設置は各校長に委ねられ、その活動方針は柔軟に検討できるはずである。大半の校長は人事異動で3〜5年ほどで転任してしまい、仕事も忙しいので、ともすれば前年踏襲主義で物事を済ましてしまうことがある。

でも、本来の仕事はなんだろうか。教育者として「子どもたちのために」ではないのだろうか。だとすれば、大好きな運動をしたいのにできない環境を早急になんとか改善するべきであろう。できるはずである。中学の野球部に入れなかったと瞳を曇らせながら話したこの子の顔がとても印象的だった。

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