COLUMN

コラム

2023.06.10

先生の「働き方改革」が急務!

4月、文部科学省が教員の勤務実態を調査し、6年ぶりに発表した。国が残業の上限として示している月45時間を超えるとみられる教員が、中学校で77.1%、小学校では64.5%もあったと言う。月80時間の残業に相当する可能性がある教員は、中学校で36.6%、小学校で14.2%にも達していると言う。6年前の調査より数値は下がっているものの、年々先生の仕事は多くなり忙しくなって来ている。教育がこの国の最大の力であり世界をリードして来た。いの一番に「働き方改革」を早急に進めなくてはならない職種であろう。先生には残業代が支払われない代わりに、残業代に当たる教職調整額として給与の月額4%を基準に支払われている。この方式が決まったのは1966年である。(当時は3%、1971年に4%に)当時の先生の月の残業平均時間は8時間程度だったと聞いている。50年以上前に創られた給与体系を未だに踏襲していることに驚きである。一般企業ならとっくに労使争議になっているだろう。
日本の先生は寝食を忘れ、子どもたちのためではあるが長時間仕事を強いられている。このように長時間働く先生は世界中どこを探してもいないと思う。日本では24時間365日先生でいなければならない。そんな日本が生み出した独自の教育という文化意識の中で、先生は働かされている。このような状況では先生になりたいと思う学生は少ないだろう。今、学生の間では「ブラックな業種」と言われている。教員試験の倍率は全国的に年々減少傾向である。定員に満たない地方自治体が出て来ているのが現状だ。これでは優秀な人材が確保できない。給与面の待遇だけでなく働く環境を根底から整備する必要がある。先生の本分は「教えること。」である。多くの事務作業や保護者からのクレーム処理、クラブの顧問、運動会や発表会、入学式・卒業式の飾り付け作業や給食の手伝いなどは先生の仕事ではないと思う。教員資格のない他の人でもできることである。であれば、このような業務から先生を早く解放してあげられれば、多くの時間を本分にかけることができ、それは子どもにとっても有意義で教育効果を上げることにも繋がる。

以前、訪れたニューヨークでは、市内の幹線道路傍にゴミがいっぱい捨てられていた。タクシーの運転手に「なぜ汚いのか?」と聞くと、車の窓から皆ゴミを捨てるからと。「車からゴミを捨ててはいけないだろう。」と言うと、捨てないとゴミを拾う清掃員の仕事がなくなってしまうと簡単に返事が返って来た。欧米は階級社会が長く続いて来たこともあり、業務の分業化が細部に渡り著しく進んでいる。ここまでとは言わないが、先生の業務を今一度細部に渡り検証し、先生しかできない仕事、先生以外でもできる仕事を分け、先生の働き方改革を早急に進めてもらいたいものである。

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