2026.01.10

前回のコラムで書いたが、日本の大学・短期大学では「定員割れ」が深刻化している。このような大学の状況下、親としてどのように対応したら良いかという相談を最近よく受ける。受験生を持つ親が取るべき対応は、従来の「倍率中心の受験戦略」から大きく転換する必要があると思う。少子化によって大学が「選ぶ側」から「選ばれる側」へと変化している。親はまず、大学の“入りやすさ”ではなく、“その大学が子どもの学びや成長にとって適切か”という視点を優先する姿勢が求められると思う。
第一に、定員割れが進むと、従来よりも「合格しやすい大学」が増加するため、受験の難易度だけを基準として志望校を選ぶべきではないと思う。定員割れの背景には、教育内容の魅力不足、地域性による人気の偏り、就職実績の差など多様な要因がある。入学が容易であることが必ずしも“良い学習環境”を意味していない。したがって、オープンキャンパスへの参加、学生の声や教育実績の確認、卒業生の進路調査など、大学の“実質的な価値”を親子で丁寧に確かめる必要がある。
第二に、名前の通った大学だから大丈夫と思わずに、その大学の安定性や経営基盤についても関心を持つべきである。定員割れが恒常化すると、大学の財政は悪化し、設備投資の停滞、教員数の削減、学部再編などが起こりうる。極端な場合には、統合や募集停止、閉校に至ることもある。今はインターネットを使い、検索すれば大学の現状なども容易に調べられる時代。大学の収容定員充足率、財務情報(自己資本比率など)、中長期計画の公開状況などを確認し、「安心して四年間学べる大学か」を判断する視点がこれからは欠かせない。
第三に、「大学で何を学ぶか」「その後どのような進路につながるか」を子どもと共に考え、進路の軸を明確化するサポートを行うべきであろう。定員割れにより大学選択の幅が広がる環境では、むしろ選択の質が問われる。将来の職業像、興味の持続性、学びの実践性などを踏まえ、子ども自身が主体的に進路を選べるよう、親は適切な情報提供と対話を重ねる役割を担わなければならない時代に入ったと思う。
最後に、親は心理的な支えとして、過度な競争意識や不安を煽らない姿勢を保つことが重要である。定員割れ時代の受験は、かつてより合否の不確実性は低い一方、大学選びの責任はより重くなる。親が冷静に状況を理解し、子どもの意思を尊重しながら伴走することで、より納得度の高い進路決定が可能になるのではないだろうか。
以上のように、定員割れが進む現在の受験環境では、これからの受験生を持つ親は「選択の質」を高める視点を持ち、大学の中身・安定性・学びの将来性を見極める支援者として行動することが求められてくると思う。