COLUMN

コラム

先日、少年野球の試合を観た。そこで驚いた光景を観た。試合中の両軍の監督、コーチの子どもたちに対する対応が両極端であったからである。
先攻のチームの監督、コーチは試合中ポジションの位置を始め細かな指示を次々とベンチから出す。エラーや間違ったプレーをすると監督が大きな声でその子をどやしつける。かたや後攻のチームの監督は、試合中はほとんど指示を出さない。エラーをしても、その子を見てうなずくだけ。「楽しんでやれ!次、次が大事だぞ」と繰り返し声をかける。エラーをしてベンチに戻って来た子の頭を撫でて何か言っている。笑顔になる。子どもの反応からも怒られているわけではないことがわかる。

結局、試合は後攻のチームが大差で勝利した。試合後、負けた先攻チームの監督は周りにも聞こえるぐらいの大きな声で選手たちを怒っていた。私には考えられない光景である。こんな化石のような指導者が未だにいるのかと。これでは強いチームを作れるはずがない。他人事だが、子どものことを考えると腹が立ってならなかった。子どもたちは指示待ちと萎縮で野球を楽しんでいるようには見えなかった。
後攻チームは子どもたちに自ら考えさせるチーム作りに徹しているように感じた。先攻チームは指示によって動かすチーム。監督として適格な指示は出しているのだろうが、なぜそのようにしなければならないのかを練習等を通じて話し、理解させているわけではないのだろう。各々プレーが自分のものになっていない。だから子どもたちは指示を待ってしまうのであろう。要するに、やらされて出来たとしても、子どもたちは成功体験を感じていないだろう。そうなると、精神的にも技術的にも伸びることが難しいのではないだろうか。

スポーツでも勉強でも仕事でも学んだ経験を生かし、自分の考えで実践してこそ身に付くもの。人の指示で動くならば、何も身に付かない。ミスしてもそれは自分のせいではなく、指示を出した人のせいだと勘違いしたままで育つのである。学校でも社会でも同じではないだろうか。
今、教育の方向性が詰め込み教育から、自分で考える力を持ち、自分の意見や考えをはっきり言える教育へと変わりつつある。教育者も含め指導者はそれを十分理解して指導してもらいたいものである。

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