COLUMN

コラム

子どもの世界は残酷である。クラスで誰が一番勉強出来るか。誰が一番走るのが早いか。誰が絵を描くのが上手か、誰が喧嘩が強いかなど、いつの間にか全てのことに「集団の中での順列」を無意識につけている。家では見られない。たぶん生まれながらに持つ自衛の為の生物としての本能ではないのかと思う。
普段は家と学校の生活に分かれ、家の教育と学校の教育は全く違った環境下で子どもたちは育っている。学校での順列付け的な事は家では存在しなかったと思う。しかし、この新型コロナウイルスによる自宅待機・自宅学習が長く行われていることにより、親・兄弟・姉妹が直接子どもたちの自宅学習の面倒を見る事になった。当然学校や塾の先生と教え方は違う。一生懸命教えているつもりでも、そこに子どもとしては家族に対する甘えも加わり違和感も混在し、家でも順列を自然につけはじめる事が起こってきている。「お母さんよりお父さんの方がわかりやすい」「英語はお母さんの方がお父さんよりよく知っている」「お姉ちゃんは中学3年生なのに小学校の算数の問題も解けない」など。大袈裟かもしれないが、ある意味程度の違いはあるにせよ、教える家族の権威や尊厳を脅かすことになっているのではないだろうか。

子どもは自分の親や兄弟を敬う心がなければならない。親・兄弟が家庭生活で教えられる根本は道徳だと思う。しかし、道徳の修得の基本は目上の人への尊厳があってこそ成り立つものだと確信している。しかし、今のこの新型コロナウイルス感染防止のために行われている自宅待機・自宅学習の環境が長引いた事は、家族関係に微妙な影を落とし始めたかもしれない。そして学校が再開しても、新しい生活様式なるものが教育現場にも取り入れられ「新しい集団」の中での「教え方」を考えなくてはならない。学校の為にも家族の為にも、子どもたちの為にも早く、いままでの日常を取り戻したい。

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