COLUMN

コラム

2021.08.10

グローバルな英語教育の必要性

仕事柄多くの大学の先生や著名な学者の先生方と話をする機会が多い。彼らは意識されてはいないと思うが、基本会話は上から目線である。私の尊敬する英語教育学者の先生がいる。初めてお会いした時から、そうではなかった。ごくスムーズに、ごくスマートに話ができ、学校と言う閉鎖された社会の中にいるのに珍しいほど社会性を持たれている方である。
子ども、特に幼児から小学生の低年齢層英語教育では誰もが認める権威者である。この先生と初めてお会いした時に、私が日本の英語教育がなかなか英会話に結び付かない理由を聞くと、こんな話をしてくれた。ちょうどオリンピックが終わったが、『もともと1964年の東京オリンピック開催を前に日本の英語教育は海外から来る外国人に対応できる英語力を身に付けさせる受け身的英語教育から始まり、それを続けて来た。国策として英語教育を全国的に普及させる為「英検(実用英語技能検定)」が創られたのも、その一環である。日本人のシャイな精神文化もあり、つい最近までなかなか積極的な英語教育が実現されてこなかったのが現実。しかし、ヨーロッパなどはもともと国と国とが繋がっていて往来が多く、人々は英語が共通言語、英語は自国語とセットの教育を小さい頃より受けている。自国から外国に出て行く際に英語が生活の武器となるために能動的英語教育が必要であった。』と。
だから多くのヨーロッパのプロサッカー選手やテニス選手などはインタビューでも流暢な英語で対応ができているのか。英語を生活の武器として使っているインドをはじめとする東南アジアの国々の人々が流暢な英語を話すことができるのも、ヨーロッパと同じ原理であろうことがわかった。その証拠に東南アジアの国々10カ国で構成されている東南アジア諸国連合(通称=ASEAN)、1997年から「ASEAN+3」として日本・中国・韓国が首脳会議に参加している。悲しいかな、この会合で、英語で会話が出来ないのはわが国の歴代の総理大臣だけという現実がある。

英語教育に向き合う能動、受動の差が中学から大学まで10年間英語を勉強してきても、日常英会話すら十分に出来ない日本の英語教育との大きな違いになっているのだろう。
2020年から小学校でも学習指導要領が改定され英語が授業に加わった。今後は、小学校1年生から英語教科も導入される予定だ。これからの英語教育は受動英語から能動英語への教育に変わっていかなければならないのだろう。
TOEFLは主にアメリカやヨーロッパの大学への入学希望者の英語力を測る試験で、TOEICは英語を母国語としない人たちの英語力を測るための試験である。英検は国内では通用するが、欧米やその他の国では認知すらされていない。アメリカやヨーロッパの大学へ留学を希望するわが国の学生は、TOEFLの英語能力判定が必要となる。英検の級数では世界的には通用しないのである。最近は幼児英語教育が盛んになってきている。英検の受験者も増え低年齢化している。島国根性のDNAを持つ私たちはどうしても日本から世界を観てしまいがちである。世界から日本を観るべきであろう。日本の英語教育が世界の英語教育から観て、世界と同等のグローバル化を目指して欲しいものである。

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